急募！ベリーの若様が花嫁を御所望です！

北柴は、柳眉を下げて縁は水ものだと呟く亜里砂が…なぜだか少し悲しそうに見えた気がした。
慌てて場を和まそうと、戯けた口調で言う。

「へぇ…足が5㎜…ですか…。
ところで俺、『ベリーヒルズビレッジ』で今働いてますが、モデルみたいにすらっとした美女は何時でも大歓迎ですし、足が大きくても可愛い子は大好きですし、共働きしなくていいくらいの十分な報酬を全く貰ってもいないんですけど…社長…なんでなんすかね…」

「うるさい！柴ケンは新入社員なんだから、お給料なんて安くて当たり前でしょ！まだ大学を出て数ヶ月しか働いていないくせに！
上の錚々たる会社と、うちみたいな超弱小会社のお給料を比べるんじゃない！
うちはやりがい重視！お客様に幸せになって頂いたならそれでいいの！」

「出た！やりがいの搾取！そしてパワハラ！」

「もう全く！口が減らないんだから！」

親子以上に歳が違う二人の、いつもの漫才みたいなやりとりを聞いて苦笑しながら、亜里砂は端末に向き直り、データ入力を再開した。