急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
そんな時…三吉涼香さんが…自殺未遂を起こしました。
何故か私が社長室に呼ばれ、社長に…『三吉涼香が死のうとしたのは君のせいだ』と言われました。
私が池澤に結婚後もしつこく付き纏ったため、ストレスの溜まった三吉さんが、自殺未遂を図った…のだそうです。
社長には『まあ…君の事情もわからなくはないから、痛み分けという事でどうだ?あの夫婦は暫く海外にやる。君は会社を辞める。これで社内に流れる不名誉な噂も収まる。これでいいだろう』とも言われました。
何がなんだかわからず、部署に戻ると、すでに私のデスクは片付けられていて、僅かな私物を、私と目を合わせようとしない同僚から受け取りました…」

「そんな事までされて!どこにも訴えることをしなかったのか!」

「…たぶん…私にはずっと池澤に対して負い目があったのだと思います…。それは…神様の前で、一生共にと誓っておきながら…彼を愛していないことに気づいてしまった事への負い目だと思います。
それに、今であればおかしいと思うことも、当時『お前が悪い』『全部お前のせいだ』と周りの大人達に責められ続けたから…。
私はもう逃げることしかできませんでした」

当時を思い出した亜里砂は、不覚にも少しだけ涙が滲み、すんと一度鼻を啜った。

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