急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
ガチャ

「逃げられましたか…」

「ああ…好きだと言ったら逃げ出した」

「あんな拗らせてる人にストレートに好意をぶつけたら逃げられるに決まってます!」

「アレ相手に、雰囲気とか…からめ手でいったら、いったい何十年かかると思ってる」

「まあ…それもそうですね」

山藤は大也にお茶を出し、自分もソファーに座り、亜里砂が帰ったため無駄になったお茶をグイーッと飲んだ。


「私…あの方、好きですよ。心配になるくらいお人好しで、押しに弱くて…基本困っている人間を放っておけない人…。
明日からもうここに来ないのが残念です。
妹としては、兄の遅すぎる初恋を応援するだけだけど…。
秘書としては…ほら…目を通さなければいけない書類が溜まってますよ!明日の予定とか、全部ひっくり返して帰ってきちゃったんだから、あとはキリキリ働いて下さい!
女にうつつを抜かして、若が腑抜けになったと言われたら、加納様が可哀想です!」

「わかってるよ…カナ(金)。
仕事するから…明日からのこと、保安部の方に連絡頼む」

「承知しました」


山藤が部屋を出ると、大也は執務机につきながら小さく呟いた。

「何度も傷つけさせてたまるか…。あいつは絶対に俺が一生守る…」

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