急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!

「そもそも、これは池澤が自分で選んだ道なのだから…彼が全てカタをつけなければいけない事なんです。ここまで若様に調べていただいて、真実を目の当たりにしたんだから…。現実から目を逸らさず、ちゃんと生き直して…。その先で…今度こそ誰かと幸せになってくれたらいいって思ってます」

「馬鹿だな…。いい気味だって笑ってやってもいいのに…」

「池澤が三吉さんと二人で幸せに暮らしていたのであれば、『あのヤロー』と恨むこともできたのでしょうが…。実際彼はあの披露宴以降、破滅エンド一直線で…。
三吉涼香さんに目をつけられたのも、愛からではなく…元はといえば、私が彼女から恨まれていたせいだったと聞かされてしまっては、とてもじゃないけど『いい気味』だとは思えません。
それに私は既に彼を愛していなかった事に気づいてしまっているので…。嫌な思いは沢山させられましたし、出来れば二度と会いたくないとは思いますが…元々、私に彼を恨む気持ちは無いんです」

「お人好しめ…。まさかあの男とやり直してみようとか言い出すんじゃないだろうな」

大也が僅かに眉間に皺を寄せた。

「そんなんじゃありません…」

亜里砂は大也を見上げ首を振る。

「私と付き合っていた時、あの結婚式の日まで、池澤は私にずっと優しくて…私が嫌だと言うことは絶対にしませんでしたし、どちらかと言うと私の顔色を窺ってばかりいる人でした。昨日…二年ぶりに話した時、裏で三吉さんと関係していた事を一夜の遊びと吐き捨てたり…三吉さんに暴力を振るったり、暴言を吐いたりした事を平気な顔で話す姿を見て、本当に同じ人なのかと信じられない気持ちでいっぱいでした」

亜里砂の大きな瞳が潤み始める。

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