急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!

「あのね…若様。『大也』って滅茶苦茶良い名前じゃないですか…。キラキラして、ゴージャスで…若様にぴったりの素敵なお名前ですよ。
使用人の方々が言ったのなんて、ただの噂でしょ?そんな噂を聞いてしまったのは不幸な事だったけど、その名前にどんな意味があるのかなんて名付けた本人にしかわからないんです。
若様を育てるのをお祖父様に任せたのだったら、名付けるのだって任せてしまえば良かったのに、わざわざお父様がご自分で名付けられたのだもの…そこにはちゃんと若様への想いがあったんだと私は思います…」

亜里砂は、きちんとセットし後ろに流された大也の黒髪を、優しく何度も撫でた。

「それに…私は『ダイヤ』好きですよ。ほら、ここに…」

亜里砂は少しだけ体を離すと、自分の耳に光る小さなダイヤモンドのピアスを指さした。

「初めてのボーナスで買ったものだけど、何年経っても一番のお気に入りなんです」

自分を見上げ、ニッコリと笑った亜里砂を、ギュッと抱きしめ返し、大也はその柔らかい頬に自分の頬を寄せた。

「ありがとう、亜里砂」

そのまま大也が亜里砂の耳のピアスにチュッと口付けたので、亜里砂の肩が小さく跳ねた。

(ううん!これは猿団子の一環…)
心を落ち着けようと自分に言い聞かせる。

「そうだ…」

大也の低い声が亜里砂の耳元で響く。

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