急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
そんな亜里砂を見て、クスリと笑った大也に手を引かれ、8階のベリーマリアージュサービス前まで送られ、オフィスに戻った途端…亜里砂は腰が抜けたようにへたり込み、まだ残って仕事をしていた松浦を大いに心配させてしまったのだった。
「あーーーーっ!きっとイルミネーションマジックにかかってたんだわ!」
(じゃなきゃ、あんな…)
「……りささん!亜里砂さん!大丈夫ですか⁉︎」
羞恥心に身を焼かれ、頭を抱えていた亜里砂は、誰かが自分を呼ぶ声に、ようやく我にかえった。
「北柴…くん?」
「大丈夫ですか?おでこ…凄い音しましたけど…」
北柴が心配そうな顔で亜里砂を見ている。
「だ…大丈夫!」
「イルミネーションマジックって…今週末のパーティーの事を考えてたんですか?」
「え⁉︎あ!そうなの!」
「またチケットあっという間に売り切れましたもんねぇ。今度はいったい何組成立するんだろ。俺超楽しみっす。まさに、イルミネーションマジックですよね!あ、今度チラシにもそのサブタイトル入れときましょうか?」
「う…うん…そうね」
(いけない!私ったら仕事中に何考えてるのよ!)
慌てて周囲を見回すと、幸いな事にオフィスには自分と北柴だけだった。
「あれ?美幸さんは?」
「ああ、さっきどなたかから電話があって…ベリーヒルズ総合病院に行きましたよ」
「そう…」
壁のホワイトボードを見たが、この時間にベリーヒルズ総合病院の会員様との面談は入っていない。
(もしかしたら…一護のお祖父様の所かもしれない…)
亜里砂は何故かそう思い、再び昨夜のことを思い出してしまい、また顔を赤くしたのだった。
(そういえば…月末の『嫁の納期』まで、もうあと一週間なんだわ…)