急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
職業柄、人様の恋愛は多く見てきているのだが、こと自分の恋愛となると、わけがわからなくなる…。ましてや亜里砂は、過去にたった一度の恋愛で大失敗をしてしまっている身なのだ。

大也の『嫁の納期』まであと数日。

(お付き合いもしていないのに、いきなり…嫁とか…考えられない!しかも選りに選ってあの『一護』の嫁よ!)

お見合い結婚だって、一応お付き合いの期間は有る。
その間にお互いの為人を見定めるのだ。その上で結婚を決める。

亜里砂と大也は…始まりが残念だったからか、飾ったり構えたりすることもなく、何となくお互い気安く接してきた。
が…本来なら…一護の御曹司など雲の上の人で…大也など亜里砂が一生関わるはずのない人物だった。

大也のお相手を探す時に、ネットなどで『一護』のことを少し調べてみたが…自分がその後継者と結婚し、妻として生きていくなんて、『一護』の大きさを知れば知るほど考えられない!


考えられない…考えられないのだけど…。

学生時代に告白された時や、池澤との始まりの頃のように、スパッと断ってしまうのは簡単だった…。

でも…。
大也が一護の後継者ということを除けば…。

(私…若様に触れられるのも…キスも…嫌じゃない。胸がドキドキするし…むしろ嬉しいんだよね。こんな気持ち、初めてでよくわかんないよっ!)


それだけではない。あの夜、ベリーモールの屋上庭園で会った後。
ベリーマリアージュサービスまで送られて、オフィス前で大也に「あ…そういえば…」とポンと渡された書類…。

池澤公平の亜里砂に対する接近禁止と…二年前の騒動について、池澤と、彼の兄と父親が正式に亜里砂に謝罪をすることを約束した書面だった。

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