急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
あの人達に謝罪なんて、してもらえるとは少しも思っていなかった。ただただ二度と関わりたくないと思っていただけ。でもあの時の一連の出来事は、亜里砂の胸の中に抜けない棘のようにずっと刺さったままだった。
もう一生結婚なんてしたくないと思うほどには…。
でも…二年前のことを謝罪してもらえるとわかったら…。思っていたより自分があの出来事を引き摺っていた事に改めて気づけたし…大也が言った通り、ちゃんと謝罪を受ければ、心に区切りがつくような気がした。
ようやく心が晴れ、前を向いて未来を見ようという気が湧いてきたのだ。
それもこれも、全て大也のおかげだ。

恋愛も結婚も、もう懲り懲りと思っていたが…またしてみてもいいのかな…なんて思えないこともない…かもしれない。


(でも…『一護後継者の嫁』はちょっと現段階では考えられない。
とりあえず、今は若様の花嫁を探す立場でもないし、彼がどうするつもりなのか…嫁の納期日まで静観するしかないんだわ…。
でも…彼が他の女性を探し、納期に間に合わせてしまったら…私はどうする?どう思う?
今ならまだ引き返せるのかな…。
だってまた失敗して傷つくのは怖いんだもん。
私は…自分が若様を好きだと…認めたくない!まだきっと好きなんかじゃない…たぶん…。
でも…)


そう日々悩む亜里砂の心中などお構いなしに、時は経ち…とうとう『嫁の納期』は明日へと迫っていた。



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