急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!

「今夜も凄かったですね。まさにイルミネーションマジック!20組中16組のカップル成立ですよ!いくら来月にクリスマスを控えているからって出来過ぎでしょ!」

「そうね」

「カップルになられた皆さん、全てご結婚までいかれると良いですね」

「そうね。そうなるように、私たちが全力でバックアップしましょうね」

ベリーモールの屋上庭園でのお見合いパーティーが大成功に終わり、マイクなどの小道具が詰まった段ボールをそれぞれ抱えて、亜里砂と北柴は上機嫌でオフィスに戻る途中だ。

カップルになったからと言って、そこで終わりではない。

ベリーマリアージュサービスでは、会員様にご成婚までのデートプランも提供している。
勿論、日程の擦り合わせに始まり、お好みに合わせたレストランの予約から、レンタカーや鉄道の切符など、何から何まで全てベリーマリアージュサービスが手配して、日帰りバスツアー感覚で一日楽しめるものになっているため、仕事に追われ、デートプランさえ立てる暇が無い程忙しいベリーヒルズビレッジで働く多くの会員様に、積極的に利用されているのだ。

亜里砂と北柴は、先日隣県にできた最新デートスポットを、コースにどう取り入れるか話し合いながら、8階まで戻ってきた。

「あ!やばいッ!亜里砂さん、すみません!俺、会員様の名札をあずまやのテーブルの上に置いたまま来ちゃいました!」

エレベーターを降りたところで北柴が小さく叫ぶ。

「ええ⁉︎もう屋上庭園閉まる時間よ!その段ボールこっちにちょうだい、片しておくから。
北柴君は早く取りに戻って!」

「すみません!お願いします!」

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