急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!

「池澤さん…!元奥様を探しましょう。ね、もう一度彼女とちゃんと話し合ってお金を返してもらいましょう!そしてそれをお父様やお兄様に返したらいいじゃないですか。
何もないところから一から始めたって、今の状況よりは遥かにマシです!」

「俺だって、あれから手を尽くしてあの女を必死に探したさ…。父も兄も必死になって探した。だがもうどうしても行方をくらましたあの女を見つけることは出来ないんだ!」

「若様なら!一護の若様なら探せるって言ってました!世界中、どこに逃げていたって、すぐに探し出せるって!私が望むなら探してくれるって!だから私が若様に頼んで…っ!」


バシッ!!



階段室に響く大きな音と…目の前に火花が散るほどの大きな熱い衝撃。

よろめきながら反射的に熱い頬を押さえ、遅れてやってきたジンジンする痛みに、ようやく亜里砂は自分が池澤に殴られたのだという事を理解した。切れてしまったのか、口内に鉄臭い味が広がる。

「馬鹿にするなっ!俺にはプライドなんて無いとでも思っているのかっ!あんな奴に!
君を奪ったあんな奴の力なんか借りられると思うか!」

池澤は亜里砂の両肩を掴んで激しく揺さぶる。

「ご…ごめんなさ…っ」

「馬鹿にするなーーー!どいつもこいつも!」

ドンッ!!

「きゃぁっ!」

散々揺さぶった後、亜里砂の華奢な体を踊り場の壁に思い切り突き飛ばして叩きつけ、池澤はハァハァと荒い息を繰り返し、亜里砂を血走った目で見つめた。

崩れそうな体を壁でどうにか支え、頬を押さえたまま呆然とした顔で池澤を見る亜里砂の体は、打ちつけられたせいで肩と背中が酷く痛み、立つ足は大きくガクガクと震えている。


「ハハッ…そうだ…忘れていたよ。今日は君に大事なお願いがあってここまで来たんだった…」

しばらくして池澤は大きく息を吐くと一度下を向き、またグッと血が出るほど唇を噛み締めると、亜里砂に暴力を振るったことなど無かったかのように、ゆっくり顔をあげてニッコリ笑った。

「お…おねが…い?」

亜里砂が震える声で訊く。

「そう…。俺の最後のお願いだ」

「?」

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