急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!


「ふん、嫁入り前じゃなきゃいいんだろう。だったら貴女にも前から言っているように、今すぐにでも俺が嫁にもらうさ。な、亜里砂、いいだろ?本当なら仕事中も、お前をずっと自分の隣に置いておきたいくらいなんだ。じゃないと心配でたまらない。Dの奥方もこう言ってることだし、今すぐ俺と結婚してくれ」

(今すぐ結婚ですって⁉︎)

「若様!貴方の気持ちばかりあーちゃんに押し付けないでくださいよ!」

美幸の抗議もどこ吹く風で、大也は求婚を続ける。

「俺はいい加減待ったぞ。そろそろ返事を聞かせてくれてもいいだろう。勿論、『是』一択だが…」

(今返事⁉︎こんな状態で⁉︎みんなも居るのに⁉︎)


大也の真っ直ぐな視線に…暫く目を瞬かせた亜里砂は…。

(ま…いいか…。『一護の後継の嫁』だとか…今は難しく考えなくても。今、相応しくなければ、いっぱい勉強して相応しくなればいい。
大事なのは、この人のことが『好き』か『嫌い』か、ずっと一緒に『居たい』か『居たくない』かだけだ。
あの時…苦しい中で思ったじゃない。私が若様を幸せにしてあげたいって…。ならば答えは一つよ)


「…い…おいう……うぅ」
(はい…よろしく…お願いします)


亜里砂が答えた一瞬の間の後…。


「やだッ!あーちゃん!本気⁉︎こんなドサクサ紛れでムードのカケラもないプロポーズで本当にいいの⁉︎」

「お…お…い…い…え…ん…」
(若様にムードなんて期待していません)

「え⁉︎今の、まさかのOKだったんですか⁉︎」

「嘘でしょう⁉︎」

亜里砂の目の端に、「yes!」と呟き、片手で小さくガッツポーズを決める山藤の姿が映った。

「亜里砂さん!待って!気を確かに持って!あんな目にあって、まだ気が動転しているんじゃないですか⁉︎いくらこの方に命を助けられたからって言っても、吊橋効果で結ばれた男女は長続きしないってよく言いますよ!
俺にしておきましょう!俺と結婚しましょう!お願い!俺と結婚してーーー〜っ!」

「柴ケン!黙れ!亜里砂ちゃんが良いって言ってるんだ。もう黙っておけ!」

「黙ってなんかいられません!
待って!亜里砂さん!俺と結婚して!
あー〜ッ、ちょっとちょっと!若様⁉︎なに俺の亜里砂さんのオデコにキスなんてしちゃってるんですか!許しませんよ!わっ!ほっぺにも!くーーっ、チックショー!」

「やれやれ、結局こうなっちゃったわね。
若様、金ちゃんや貴方から聞いて、貴方の想いは十分わかっていますが、ご存知の通り、あーちゃんは私の娘同然なんです。そんな大事な娘を、この先、貴方まで悲しませるようなことがあったら、私は絶対に許しませんからね」

「大丈夫だ。そんな事には絶対にならない。俺に任せておけ」

大也が自信たっぷりな様子で頷くのを見て、美幸はため息をついた。

「ハイハイ、わかりましたよ。柴ケン、煩い!いつまでも騒ぐんじゃないの!ここは病院よ。みんなも…私達はいったん外に出ましょう。では若様、あーちゃんを頼みますよ。
あ、そうそう。結婚式、その他諸々はD-Hotelでお願いします。私は今から金ちゃんのところに行くから、ついでにご挨拶もしておくわ。
末永く宜しくお願いします…ってね」

「社長!俺も亜里砂さんと結婚し〜た〜い〜の〜っ!」

「「柴ケン!煩い!」」

「さあ、行くわよ!」

まだ騒いでいる北柴の首根っこを、長身の松浦が掴んで部屋から追い立て、環が亜里砂に「おめでとう〜」と親指を立てウィンクを投げながら部屋を後にする。

美幸が「また後で来るわね」と亜里砂に言って出ていくと、病室は途端に静かになった。



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