急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!

「お前が、初めて俺の部屋に来た時、部屋の前でカナに写真を撮られただろ?」

「え?あ…ぁ、あのボディーチェックの時?」

「ああ。あの写真を、ベリーヒルズビレッジの保安部に送って…顔認証追跡監視システムで、ずっと亜里砂の動向を追っていたんだ…」

「なっ⁉︎」

「しようがないじゃないか!俺はお前を一生守り続けると決めたんだ。お前がどこにいるのかわからなければ、守れないだろ!だから、俺も亜里砂の様子を執務室の俺の端末で追えるようにしていたし、亜里砂に何かあれば、ベリーヒルズの警備員がすぐに駆けつける事になっていたんだ。あの日は中東の王族と少し揉めてたせいで、気づくのが遅れてしまったんだが…」


「若様…。残念です…。モラハラにセクハラ…おまけにストーキングまで…」

「そこに大きくて深い愛があれば、何も問題は無い!しかも結果オーライだっただろう!」

白々とした視線を向け、逃げようとした亜里砂の腕をグイッと引き寄せると、大也はその華奢な体を自分の腕の中に再びぎゅっと閉じ込めた。

「それくらいお前のことが心配だったんだ」

「若様!ここ病院ですってば!しかも問題だらけです!ということは、私、今現在も監視されているってことじゃないですか?」

亜里砂が大也の腕の中で赤くなった顔を上げ、廊下の監視カメラをキョロキョロと探す。

こんな姿を今も誰かが見ているだなんて、考えたくもない。

慌てる亜里砂に構うことなく、大也は亜里砂の頬に手を当て、またわざとチュッと音を立てて唇にキスをした。

「もう、何してるんですか!って、やだっ!これも見られているの⁉︎あっ、さっきの(イチャイチャ)も!
はっ、そういえば…!あの夜のモールの屋上庭園(のキス)は⁉︎
もしかして…あれもこれも…全部全部誰かに見られてたかもしれないってこと…⁉︎」

亜里砂の赤かった頬が、俄に色を無くす。

「大丈夫だ。主人のプライベートタイムは出来るだけ覗くなと、下の者には言いつけてあるから」

「なにが…何が『大丈夫』よ!『出来るだけ』ってなに⁉︎若様の馬鹿!信じられない!あんなの人様に見られてたかもしれないなんて!恥ずかし過ぎてどうにかなりそうよ!」

亜里砂は再び湯気が立ちそうなほど真っ赤になって抗議の声をあげ、大也の胸をポカポカと殴る。

そんな光景も、カメラ越しではイチャイチャしているようにしか見えないことに、亜里砂は全く気づいていない。

「恥ずかしがる亜里砂も可愛いな…」

「馬鹿っ!」

大也が目を細めて亜里砂のパンチを受け流し、抱き寄せてまたキスの雨を降らせようとしたその時…。

目の前の扉がガチャっと開いた。


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