急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
「そうじゃな…。亜里砂さんの言う通りかも知れぬ。いや、そのように考えられたなら、皆少しは救われような…」
金持が再び目元を拭った。
「余計な口出しをしてしまい申し訳ありません」
「ふふ…あの夜を思い出すよ。貴女の言葉はいつでも我らの胸に沁みる。貴女は、儂や大也の幸せの女神じゃな」
金持は優しく亜里砂に微笑む。
(笑うと本当に若様とよく似ていらっしゃるわ…)
「大也からもう聞いておるかもしれんが…こうして病院のベッドから長々離れられぬのを見てもわかるように、実のところ…儂の命はもう…そう長くはないのじゃ。今日は中々気分が良いが…最近では起きられぬ時も多々ある」
「…!」
「正直…人生の残りの時間を医者から聞かされた時、他の孫達には悪いが…」
金持はチラリと湊を見て眉を下げる。
「思うのは大也のことばかりじゃった」
「祖父さん…」
「お祖父様…」
「『一護』のことは何も心配することはない。儂は大也を信じておる。これまで見てきて仕事面で憂えることは何も無い。今は生え抜きの腹心が社長に就いてはおるが、すぐにでも大也に代わる準備は出来ておる。他の孫達も精一杯支えてくれる。『一護』の結束はかつてないほどに強い。そして大也にはそれを率いる力がある。『一護』は安泰じゃ」
金持はニッコリ笑うが、一転してまた眉を下げた。
「じゃが…儂は手塩にかけて育てたこの孫の、プライベートの方が心配でのぅ。このまま死んでしまっては、心残りで成仏出来る気がせんかった」
金持はハァと嘆息し、湊はうんうんと頷いている。
「複雑な家庭環境で育った大也は、先ほど亜里砂さんも言うた通り、恋や愛を知ろうともせず、それをどうでも良いくだらぬことと考え、両親の在り方を横目で見ておったせいか、結婚にも夢や希望は微塵も持っておらなんだように、儂には見えた」
「のう?大也?」と問う金持に、「ああ」と大也が頷く。
「ただでさえ、一護の財産や地位や、大也の見てくれだけで寄ってくる女性は多い。亜里砂さんはセフレ自慢と言うたが、儂の経験上『一護』の後継ともなると、望まぬとも、男女問わずそういう輩が本当にたくさん周りに寄ってくるのじゃよ。
彼女らは大也の側に勝手に侍り、『一護』の御曹司の彼女のうちの一人という立場に満足し、互いに少しでも多くの恩恵を受けようと牽制しあい、満足せぬ女性は去ってゆく。大也はそんな女性達が、増えるのも減るのも頓着しない。
心がそこに全く無いからじゃ。
そんな風で、此奴が周囲の女性を好きになることは、決して無いし、たとえ本気で大也を好いておる女性がおったとしても、周りの取り巻きに阻まれ、その気持ちがこれに届くことはなかったじゃろう。万一そこを抜けられたとしても、恋愛をどうでも良いことと決めつけ屈折しておった此奴には、そんじょそこらの想いでは届かぬじゃろうて」
金持は苦笑する。