急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
「あーちゃん…珍しく声出して笑ってたわね…」
「営業用の貼りついたみたいなのじゃなくて…ちゃんと笑ってましたね…」
「いつもの困ったような笑いでもなかったっすね…」
「そうね」
「しょうがないですよ。あんな事があったんじゃ…」
「さっきは柴ケンのせいでヒヤヒヤしましたが…」
「ええ…。でも、今のあーちゃんの気持ちがわかって良かったわ。私ではあんなこと訊けないもの」
「結婚なんかしたくないって言ってましたね…」
「二年経ってもまだまだ傷は癒えないんすねぇ」
「そうね。あの子の場合、あんなに酷く傷つけられたのに、傷ついたと自分で気づいていないのが問題なのよね。あの場で怒って泣き喚いて縋ってもよかったのに、あんなすぐに諦めてしまうなんて…。
まああんな男、捨てて良かったんだけど。
子供の頃から聞き分けが良くて、我が儘も一切言わない穏やかな良い子だったから…あの子…あの時…怒り方もわからなかったんじゃないかと思って…。
相手より幸せになってやろうとか、見返してやろうとか…ましてや復讐してやろうとか思いもしないんだから…見てて歯痒いの。
あんな事があって会社を辞めてしまったあーちゃんのために、結婚は良いものだと思って貰おうと、この会社を立ち上げて無理矢理引き込んだのに…。
お客様の幸せそうな姿をあんなに何件も見てきてさえ、まだ結婚には夢も希望も全く持てないって…残念ながら逆治療とはならなかったようね…。
何とかできないものかしら。あの子の両親も本当に心配してるのよ」
「そうですね。でも今年に入ってからは、まぁまぁちゃんと笑うようになったんじゃないですか?亜里砂ちゃんが入った頃は、笑えないこの子にこの仕事ができるの?って凄く不安でしたから。思いの外、作り笑いが上手で驚きましたけど…」
「元々は、空気を読むのも他人に合わせるのも上手なんでしょう」
「あのお調子者が入社してから少し明るくなったわよね…。じゃ、バカって言われたのも、ババァって言われそうになったのも許してやるか」
「ふふっ…そうですね」
オフィスに残った三人が、そんな話をしていた事を亜里砂は知らない。
「営業用の貼りついたみたいなのじゃなくて…ちゃんと笑ってましたね…」
「いつもの困ったような笑いでもなかったっすね…」
「そうね」
「しょうがないですよ。あんな事があったんじゃ…」
「さっきは柴ケンのせいでヒヤヒヤしましたが…」
「ええ…。でも、今のあーちゃんの気持ちがわかって良かったわ。私ではあんなこと訊けないもの」
「結婚なんかしたくないって言ってましたね…」
「二年経ってもまだまだ傷は癒えないんすねぇ」
「そうね。あの子の場合、あんなに酷く傷つけられたのに、傷ついたと自分で気づいていないのが問題なのよね。あの場で怒って泣き喚いて縋ってもよかったのに、あんなすぐに諦めてしまうなんて…。
まああんな男、捨てて良かったんだけど。
子供の頃から聞き分けが良くて、我が儘も一切言わない穏やかな良い子だったから…あの子…あの時…怒り方もわからなかったんじゃないかと思って…。
相手より幸せになってやろうとか、見返してやろうとか…ましてや復讐してやろうとか思いもしないんだから…見てて歯痒いの。
あんな事があって会社を辞めてしまったあーちゃんのために、結婚は良いものだと思って貰おうと、この会社を立ち上げて無理矢理引き込んだのに…。
お客様の幸せそうな姿をあんなに何件も見てきてさえ、まだ結婚には夢も希望も全く持てないって…残念ながら逆治療とはならなかったようね…。
何とかできないものかしら。あの子の両親も本当に心配してるのよ」
「そうですね。でも今年に入ってからは、まぁまぁちゃんと笑うようになったんじゃないですか?亜里砂ちゃんが入った頃は、笑えないこの子にこの仕事ができるの?って凄く不安でしたから。思いの外、作り笑いが上手で驚きましたけど…」
「元々は、空気を読むのも他人に合わせるのも上手なんでしょう」
「あのお調子者が入社してから少し明るくなったわよね…。じゃ、バカって言われたのも、ババァって言われそうになったのも許してやるか」
「ふふっ…そうですね」
オフィスに残った三人が、そんな話をしていた事を亜里砂は知らない。