急募！ベリーの若様が花嫁を御所望です！

亜里砂は自分で望んだわけではないが…職業柄、男性の容姿を瞬時にカテゴリ分けして位置づけるクセがついている。
ベリーヒルズビレッジ内に勤務する、スペックの高い男性達を見慣れている亜里砂が、見たこともないくらいのこの極上な男…。

(誰…⁉︎このSSS！)


男に…綺麗な眉間を少しだけ寄せ、咎めるように目を僅かに眇めて見られ…呆けていた亜里砂はハッとし、急いで立ち上がった。

「失礼しました！何かこちらに御用ですか？」

慌てて営業用の笑みを貼り付け、「御用は？」とニッコリ問うた亜里砂に、男は笑いもせずに言った。

「ここで頼めば…すぐに『嫁』を探してくれると部下にきいた。今日中に急ぎで必要だから、とりあえず適当に一人見繕ってくれないか？」

「はい……⁉︎」
(お客様…⁉︎え…？適当に…急ぎで必要だから…って今聞こえたけど…。今日中って、もう23時を回ってるわ。私の聞き間違い⁉︎)

亜里砂はまたポカンとして男を見つめた。
基本一生を共にするはずの『嫁』を、八百屋で大根を買うように…『適当』に『急ぎ』で決める人っている⁉︎いや…八百屋で大根を選ぶ主婦の方が、もっとじっくり悩むだろう…。