急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
一気にぶちまけ、肩で息をしていた亜里砂は、一度大きく深呼吸すると…衝撃を受けたように自分を黙って見つめている大也にはもう目をくれず、ベッドの上で茫然と二人を見守る金持に向き直り、次の瞬間深々と頭を下げた。

「こんな時間に…お加減が悪く入院されている病室で声を荒立ててしまい、誠に申し訳ありませんでした。お許し下さい。
御覧になられていましたとおり、残念ながら…お孫さんと私との間に、ご縁は一切ありませんでした。なので、この婚姻届に私がサインをする事はできません…。ですが……」

亜里砂はポケットの名刺入れから自分の名刺を一枚取り出し、婚姻届の横にそっと置いた。

「ですが…私、お孫さんから本日の事情を先程聞かされておりました。0時をまわる前に嫁を連れてこいと言われ、一時間で嫁を探さなければならなかった事…。既に0時をまわってしまった今…本音を言えば『私の知ったこっちゃない』の一言ですが…。
私がこうして断った事により、この人が『一護』の後継者から外されてしまうのであれば、あまりにも寝覚めが悪い気がしますし、この先、この人に私が恨まれるのも絶対に嫌です」

亜里砂は本当に嫌そうに顔を顰めた。

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