急募!ベリーの若様が花嫁を御所望です!
こんな敗北感は、生まれてこの方、味わったことが無かった。

おかしい…。
昨夜、亜里砂が眼鏡を外すまで…確かに自分の方が優位に立っていたのに…。
今の、この立場の弱さは何だ?


コンコン

ノックの音がする。

「亜里砂⁉︎」

亜里砂が戻って来たかと思った大也は、パァーっと顔を明るくして顔を上げた。

「失礼します…」

「なんだお前か…」

山藤の姿を見て、途端に精気を失くす。

「私ですみません…。加納様、帰られたんですね」

「……」

山藤がトレイに紅茶のカップを下げながら言う。

「今夜の予定はキャンセルで宜しいですか?」

「ああ、頼む。あと、明日またアイツが来るから、時間をとって欲しい」

「承知しました。それでしたら、今日はもうキリキリ働いて下さい。貴方の一分がいったいいくらすると思ってるんですか」

「ああ…」

と言いながら…「はぁ…」と、大きな溜息をついて机に突っ伏した大也に、山藤はニヤリと笑って言った。

「若でも、思い通りにならない事があるんですねぇ。そんな姿、新鮮で萌えます」

「うるさい、黙れ!」

「ああ〜、そんな事言う人にはコレあげませんよ」

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