私を甘やかして、そして、愛して!
翔平も持参したおにぎりを食べ

熱い緑茶で喉を潤した。

「先輩もお湯につかりますか?」

「冗談だろ?」

「勿体ないですよ。」

「こんな冷気の中で裸になる気はない。」

「そうですか。」

久実はあっけらかんとして動じない。

「どんな温泉かもわからないじゃないか。」

「そうですけど。」

「無謀だ。」

「見てから決めますので。」

「そりゃそうだ。」

それぞれに隠れて用足ししてから

再度出発した。

翔平は久実の後ろに続いた。

「今日中に戻れるのか?」

「はい。その予定です。」

「ふーん。」

ところがそうはいかない状況になるとは

どちらも知る由もなかった。

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