私を甘やかして、そして、愛して!
α. 想定外の現実
私は立花久実。

一人登山が趣味である。

きっかけは

大学の山岳部に

好きな先輩がいて

ダメもとで告白したが

丸っきり無反応なうえ

先輩の頭の中には山しかなかった。

悔し涙で顔がくちゃくちゃになった。

そんなに山がいいのか

山さえあればいいのか

頂上に突っ立って我が物顔になりたいのかと

日に日に見返したい気持ちが強くなっていった。

こうなったら自分も山に登ってやる。

そう思い

サークルには入らずに

単独で登山を学習した。

ウエアもカラフルだし

装備も手軽にそろえられるが

私には一緒に登る仲間はいなかった。

週末はもちろん近場の山へ。

連休は当然連泊して山へ。

最近は女性のトレッカーが増えた。

他人とはいえ嬉しいことでもあるが

なぜか男女のカップルは極小だ。

大抵は同姓同士か

もしくはグループが多い。

恋人同士でトレッキングを楽しむハイカーは

全くと言っていいほど見かけなかった。

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