私を甘やかして、そして、愛して!
「立花。」

「はい。」

「登頂するのか?」

「もう一つ向こうの山に用があるんです。」

「まだ先へ行くのか?」

「はい。」

「一人で?」

「はい。」

「ふーん。」

先輩は湖に未練があるのか

なかなかその場を立ち去ろうとしなかった。

なにやら考えたのだろうか。

「わかった。俺も同行しよう。」

「ホントですか?嬉しいです。」

正直私はその言葉を待っていた。

「少し頭を冷やさないとな。」

先輩とトレッキングできることに

私は嬉々とした。

これは想定外の現実である。

心の中で密かに万歳をした。

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