翠玉の監察医 弱者と強者

「あの家の人たちさぁ！！医者ばっかの家系だからって監察医を舐めすぎ！！それだけならまだしも！！「女だから」っていう理由でネチネチネチネチ鬱陶しいんだよ！！」

ゼルダが激しく怒り、アーサーも「確かにあれはひどいな」と頷いていた。そして未だに興奮状態のゼルダに「どうどう！」と言い始める。

「私は馬じゃな〜い！！」

ゼルダがそう言い、アーサーと圭介は笑う。そんな中で蘭は「やはりそうなりましたか……」と暗い顔を見せた。

「蘭は三国家の人のことを知っているの？」

マルティンに訊ねられ、蘭は「少しなら……」と答える。そしてそれ以上質問されることがないように仕事へと戻った。

「でも、話を聞いてたらほのかさんの負担がとんでもないものだってわかったよ」

アーサーがその目に哀れみを浮かべ、口を開く。

「あの家、家事と育児は女の仕事って考えだから朝から晩までほのかさんは動き続けてるんですよ。義彦さんと天良さんは働いて家にお金は入れても育児、家事の手伝いは一切なし。晴子さんも家事は嫁の仕事って言って手伝わないんです」