翠玉の監察医 弱者と強者

カーキ色のエプロンをつけた店員が笑顔で二人を出迎える。そして「カップルの方ですか？今日はカップルの方は割引デーなんです！」と笑顔で言う。

「いえ、彼とはそういう関係ではーーー」

蘭が否定しようとすると圭介にそっと手を掴まれる。

「いいじゃないですか。割引ってお得だと思いますよ」

「ですが、これでは私たちのしていることは詐欺です。違法行為に当たります」

蘭はそう言ったものの、店員はもう割引券を圭介に渡しており、圭介は「もう券をもらっちゃいました」と笑っていた。

「深森さん……」

空いている席に案内されてしまったため、蘭は諦めて椅子に座る。柔らかなおしゃれな椅子に浅く蘭は座り、圭介と共にメニューを見始める。

「俺、カフェラテ頼もうかなって思ってます。可愛い羊描いてもらいたくて」

「ゼルダもよくカフェラテに犬の絵を描いてもらっています。マルティンもカフェラテが好きだと話していました」