翠玉の監察医 弱者と強者
蘭はゼルダやマルティンとカフェに行った時のことを思い出す。そしておいしいスイーツやコーヒーにはしゃぐゼルダたちの顔が浮かび、自然と微笑んでいた。

しばらく話した後、蘭は圭介と同じカフェラテとシフォンケーキを頼む。そして時々会話をしながらお茶の時間を楽しんだ。

「デート、楽しいですね」

圭介が笑いながら何気なく放った一言に、蘭はピタリと動きを止める。そして「デート……」と呟いた。

その手は黒いトップスの胸元につけられたエメラルドのブローチに伸びていた。



カフェで圭介とお茶をした翌日、蘭はいつものように世界法医学研究所で仕事に取り掛かっていた。

「蘭!朝から思っていたけど、その赤いスカート可愛いわね」

ドイツ人監察医のゼルダ・ゾルヴィッグに声をかけられ、蘭は「ありがとうございます」と頭を下げる。

「蘭ってオシャレだよな〜。服ってどこで買ってるんだよ」

アメリカ人監察医のアーサー・スチュアートが言い、スウェーデン人監察医のマルティン・スカルスガルドも「服を買う参考にしたい」と頷いた。
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