この声で、キミに「好き」と伝えたい。
「遠慮なんかいらないって言ったろ?」


そう言って立ち上がったその人が、あたしが顔を覗かせていたドアを引いて、中へと招き入れる。


「おかえり、千歌」

「ただいま、豹くん」


豹くんのふにゃりとした笑顔を見ると、授業や家での歌のレッスンの疲れが一気に吹き飛んでしまう。


『おかえり』

『ただいま』


これだけ聞けば、まるでいっしょに住んでいるかのようなセリフ…。
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