ご縁婚  お見合い結婚のはずですが、溺愛されています?
誕生日と共にされた提案

 二十七歳の誕生日を迎えた日。
 その日は、両親の命日でもあります。
 今年で二十三年。
 あの頃は幼く小さな子どもだった私も、長い年月ですっかり大人になりました。
 
 しかし、いくつになっても伯父一家が私の誕生日を祝い、集まることはこの歳になっても変わりません。
 ありがたいとは思うけれども、そろそろ祝われる歳でもなくなってきたような……。
 そんな葛藤も、二十代半ば過ぎから感じてきているものの、今年も相変わらず伯父夫妻に従兄弟で兄になる浩太郎君一家も揃って、お祝いの会が開催されています。

 ここは、近年開発されて話題になっているベリーヒルズのレジデンス。
 そこの四階に並びで伯父夫妻と浩太郎君一家は住んでいる。
 病院が大きくなり、このベリーヒルズに移転、開院と同時にここに移り住むとき、私はやっと一人暮らしを始めた。
 このベリーヒルズにほど近いアパートにて現在、私は一人で伸び伸びと過ごしている。
 ただし、誕生日である今日は伯父夫妻の家へとお邪魔しているのだ。

 この家には住んでいないにもかかわらず、実家なのだからと引っ越した現在でも、私の部屋がいまだにある。
 伯父夫妻には本当の娘のように、大切に育ててもらったし、従兄弟の浩太郎君は本当に妹のように接して可愛がってくれた。

 そんな素敵な家族に恵まれて私、桜木茉奈花はこうして二十七歳の誕生日を迎えました。

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