ご縁婚 お見合い結婚のはずですが、溺愛されています?
季節の変わり目と共に波乱の予感
そうして穏やかに過ごしていた、私達だか秋に変わり始め、一緒に暮らして三ヶ月が経った頃から雅貴さんの忙しさが増した。
珍しいことに、旅客機の部品にリコールが出てしまい大幅に航空路線や便数の変更等が必要になり、整備等の現場も事務方も大わらわ。
数日ニュースをにぎわせたが、落ち着くまでなかなか時間が掛かりそうだと言っている。
専務取締役の雅貴さんは、報道発表や説明と現場等の対応に追われている。
帰宅は日付の変わる頃になる日々が続いていて、体調を心配している。
待たずに寝てくれと言われていることもあり、最近栄養と食べやすさを考えて夕飯を用意している。
朝起きれば、しっかりと朝食が用意されているし、夕飯の食器は片付けられている。
疲れているだろうに、気遣いも担当も相変わらず行う様子に心配でならない。
そうして、二週間が過ぎた頃私は週末で翌日が休みなこともあり、起きて雅貴さんを待っていた。
やはり、帰宅は日付が変わってからで久しぶりに見た雅貴さんは、疲労の色が濃く出ていた。
「お帰りなさい、雅貴さん。お疲れ様」
顔を見て驚く様子に、私は苦笑しつつ今日の夕飯を用意する。
今日は野菜たっぷりの鍋焼きうどん。
お腹に優しく栄養も取れるように、食べやすいものでと考えて、帰ってきて直ぐに作ってあげられるメニューにした。
「茉奈花ちゃんだって疲れてるだろう? 無理に起きてなくて良かったのに……」
そんな言葉を口にしても、その声のトーンはどこか嬉しそうで、私はニコッと笑うと着替えを促した。