ご縁婚  お見合い結婚のはずですが、溺愛されています?

 「茉奈花ちゃん、お誕生日おめでとう。遅れて、ごめんなさいね」

 すっかり整ったダイニングテーブルを前にして、食前酒を嗜んでいた浩一郎伯父さんは、やってきた浩太郎兄さんのお嫁さんの希代美さんと孫娘の沙希ちゃんに、ニコニコと笑顔を浮かべている。

 「おぉ、沙希! じいちゃんとこに来い!」

 「じいじ! たらーま!」

 そんな可愛らしいやり取りにほのぼのしつつも、私は希代美さんに返事を返す。

 「希代美さん、お疲れ様です。今日の産婦人科は混雑していましたものね」

 そう言いつつ、食前酒を進めるが希代美さんは断ってお水を口にした。
 その様子で、ピンと来て私はお茶を準備したら、希代美さんは嬉しそうにお礼を言ってくれた。

 「ごめんなさいね。今年は応答要員になってるから、お酒飲めなくって」

 浩太郎兄さんのお嫁さんの希代美さんは、桜木総合病院で働く産婦人科医。
 産婦人科は当番に入っていれば、お産や急患での呼び出しに対応しなければならない。
 家が近く、希代美さんからしたら義母にあたる、伯母さんに沙希ちゃんを見てもらうこともできるので、月に数回は当番に当たっている。
 伯母さんがダメな時は、基本残業のない私が対応することもあり、沙希ちゃんとは結構仲良しである。
 一応、叔母になる私は沙希ちゃんには茉奈ねぇと呼ばれている。
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