ご縁婚  お見合い結婚のはずですが、溺愛されています?
そこからは陣痛監視装置の波に合わせて、雅貴さんの手を握りながらいきんだ。

「そう、そう上手よ!初めてなのにとっても上手。次もう一回頑張って、そう、目をしっかり開いて力入れて!」


希代美さんの的確な言葉を聞いて、頑張っていきむ。

「おっけー!もういきまないでハッハッハの呼吸だよ」

思いっきりいきんだのは陣痛の波三回分で、呼吸を変えた途端にするんと出てくる感覚がした。

すると、大きな声を上げた真っ赤な顔の赤ちゃんが見える。

「おめでとう。元気な女の子よ」

希代美さんがにっこり笑って取り上げた子を見せてくれる。

「綺麗にしてすぐ連れてくるからね。お願いします」

そうして、私の出産は怒涛のスピード安産と言われた。
破水からちょうど一時間、LDRに入って四十五分だった。

「いや、間に合ってよかった。茉奈花頑張ってくれてありがとう」

私は事後処理をしてもらいながらも、まだ泣いて処置を受けてる我が子を待っている。

「うん、雅貴さん間に合ってくれてありがとう。元気に生まれてよかった」

綺麗になって私の胸元に来た娘は生まれながらにフサフサの髪を持ち、顔立ちは雅貴さんに、似ていると思う。

「初めまして、産まれてくれてありがとう」

抱きしめた娘の温かく小さな手を握り、私と雅貴さんは新しい家族を迎えたことを喜んだ。
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