ご縁婚 お見合い結婚のはずですが、溺愛されています?
さぁ、問題のお見合いだ
そうして、誕生日から一週間と少し。
週末の日曜日。
いつもなら部屋を片付けて、買い出しの後に常備菜を作ったり、その後は本屋さんに行って、読書をしたりして過ごすのだけれど、今週はあの日浩一郎伯父さんが持ってきたお見合いの日である。
真夏の陽気そのままに、じりじりと照る太陽にたった五分の距離でもジワリと汗をかきつつたどり着いたのは、ベリーヒルズ内のショッピングモール。
その中で高級和菓子として有名なお店の、喫茶部門の個室で待ち合わせである。
屋上の一角にある茶室が今回のお見合い会場だ。
私には、浩一郎伯父さんに日奈子さんがついてきている。
向こうも親御さんも来ているのだとか……。
仲人が居ないものの、なんか本格的なお見合いっていうか、最早両家の顔合わせ状態なのでは? と危惧しているが、慣れない着物を着せられたおかげで、逃げ出すことも叶わない。
今日は久しぶりに成人式の折に作ってもらっていた、淡いブルーの辻が花の振袖を着つけてもらっていた。
「お見合いっていったら、やっぱり和装でしょう?」
と張り切った日奈子さんによって、お昼過ぎには拉致されて、日奈子さんの御用達の美容院にて着付けとヘアメイクを施されれば、あら不思議。
普段からは全く違った、日本人らしい和装の綺麗めな私が居るのだから。
鏡を見つつ、ぼそっと言えるのは……。
「女性の服装とメイクって詐欺技術よね……。主にプロのメイクは……」
そんな、残念な独り言なのであった。