心の距離と、現実の距離

「私ね、好きな人を振ったの」




君は突然僕に、そう告げた。




















高校生の夏、部活に打ち込んだり、バイトをしたり、恋愛をしたり、忙しい毎日だ。みんなが同じように恋に落ちて、好きな人を追いかけて、努力して。





そんな毎日が嫌いだった。恋愛なんてしないし、部活も対して真面目にしていない。そんな僕が高校生活を満喫できるわけが無い。
クラスでイチャつくやつ、体育の授業で見栄を張るサッカー部。休み時間に笑って早弁をする野球部。
僕の目に映る全ての世界が真っ暗だった。




なんのために生きているの？なんのために頑張っているの？
成果も何も出ない自分が嫌いで嫌いで…。














そんな時、君が目の前に現れたんだ。

「ゆうき？元気？大丈夫ー？」

クラスは違うのに、面識も何も無かったはずなのに、日々に疲れている僕に声をかけてくれた。


別の日、

「おっ！やっほぉ！元気かー？」


また別の日、

「おーい！生きてるー？笑」


さらに別の日、

「お！元気ー？笑えよお！！」







遠くで笑っているはずの人が、日に日に近くで声をかけてくれる。僕の毎日に、なにか変化の音がした。











これは、僕が僕じゃなくなる、過去の自分から、新しい自分になるための日記とでもしておこう。






彼女と出会った日から、何かが変わった。


そして、何かを失い、何かを傷つけた。