麗しの彼は、妻に恋をする
銀座のカフェで会うのだからと、ベリーヒルズのショップで、和葵に買ってもらったワンピースを着てきたが、もしかして頑張りすぎただろうかと不安になった。

「もしかして、な、なにか変ですか?」

「いや。なんていうか……」
芳生は言葉を濁した。

「都会っぽくなったな」

「あ、あはは。最近こっちにいることが多いから、服装には一応気をつけてまして」

「おばあちゃん、まだ大変なのか?」

「いえいえおかげさまで、もう普通の生活には支障ないんです。でも買い物とか荷物を持つのはまだ、私が心配で」

「そうか。じゃあまだしばらくは、こっちから益子に通うようなのか?」

「ええ、そうですね、ちょっと落ち着かないですけど」

和葵宅から祖母宅へ。となると益子には週に三日しかいられないので作陶に忙しい。寝る間を惜しんで作業をしているような状態だ。

「あんまり無理はするなよ」

「はーい。ありがとうございまーす」

そんなこんなで、柚希がランチを楽しんでいる時。

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