麗しの彼は、妻に恋をする


***


そして迎えた週末。

柚希は和葵に連れられて、ベリーヒルズの一角にあるトータルビューティサロンなるところに来ていた。

「――え」
ドレスに着替えた柚希は、鏡を前にして目が点になる。

採寸だけされて、デザインなどは全て和葵に任せたので、試着もしていなかった。

まさかこんなものを着るとは。唖然とするほどそのドレスは柚希の予想を超えていた。

シャンパンゴールドのロングドレスは光が当たるとキラキラと輝くラメ入りの生地でできている。
それはいいとして、体の線がそのまんま表に出るデザインなのだ。

下着はTバックにヌーブラを渡された理由がわかった。振り返って背中を見てみると、肩甲骨あたりまで大きく空いている。

髪をおろしている今はさほど見えないが、これは如何なものか。

日頃の不摂生のおかげでお腹は出ていないので、そういう心配はないが、裸を晒しているようで物凄く恥ずかしい。

――本当にこれを着て人前へ出るの?

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