麗しの彼は、妻に恋をする
鏡に映る我が身を見た柚希自身も、お世辞ではなく確かにすごいと思った。3Dキャンパスになり芸術作品にでもなった気分である。

彼の手にかかると誰でも美人になってしまうのだろう。
結婚記念の写真を撮った時もそうだった。いまもまた鏡の中の自分があまりにも変わり過ぎていて、もはや他人を見ているかのようだ。

そして、鏡に映る自分の後ろ姿を見てホッとした。

邪魔になれば自分で切るだけの長めの髪は、美しい髪飾りでゆったりとまとめられて、背中におりている。大きく開いていても髪が隠してくれているのでそれほど恥ずかしくはない。

「綺麗にしてくださって、ありがとうございます」

「奥さまは首からデコルテのラインが特に綺麗だから、このドレスがとってもよくお似合いよ。細いウエストから形のいいお尻、すらりと伸びた手足。なにこの華奢な感じ。もうー全てが羨ましいわぁ」

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