麗しの彼は、妻に恋をする
「柚希、疲れただろう。お疲れさま。さあ、行こうか」

「はい」

ようやく帰れる。

部屋に着いたら、そのまま布団へダイブしてしまおうか。それともがんばってシャワーを浴びて、冷凍庫からピザでも取り出してチンして食べようか。

そんなことを楽しみにして和葵に付いて行くと、彼はフロントに声をかけて鍵を預かった。

――ん? もしかして、彼はお泊り? 今日パーティに来ていた誰かと約束とか?

あれれ? だって、二次会に行くんじゃなかったの?
帰り際、色々な人が彼に来るよう声をかけていたので、てっきり彼は行くものだと思っていた。

なんてことを考えていると。和葵は柚希の腰に腕を回してエレベーターの方へ歩いて行く。

「今夜はここへ泊ろう」
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