麗しの彼は、妻に恋をする
でももう寒くて出てこないから大丈夫ですよ和葵さん……。

ちょっとだけ、ちょっとだけと思いながら、柚希は深い眠りに落ちていった。



「……ん」

目が覚めた時、最初に見えたのは和葵の横顔だった。

――へ?

コタツにいたはずが何故か柚希はベッドの上にいる。

しかも彼も一緒に横になっている。

狭いシングルベッドなので、肌を寄せ合うようにして。

「和葵さん?」

「おはよう。よく眠っていたから移動しておいた」

ハッとして起き上がると、彼が後ろから腕を回し抱きしめてきて、首筋にチュと唇をつける。

「いま十一時だよ?」
ということは、二時間寝ていたという事だ。

「ごめんなさい。先輩の登り窯を見にいっていて」

「そう」

ハッとして思い出した。

「あ、そうそう。結婚のお祝いを頂いたんですよ? 抹茶碗。ここから選んでって言われて、色々あったんですけど、どれも素敵で」

「ん? それは彼が選んだの? それとも君?」

「えっと、ふたりで選んで」

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