麗しの彼は、妻に恋をする
――優しいだけじゃなくてちょっぴり怖い、私の素敵な旦那さまも、ちょうどこんな感じかも。


「こんなに素敵な旦那さまができて、本当に良かったわ。もうね、心配でしょうがなかったのよ。そのうち野垂れ死にするんじゃないかって」

「あはは……」

「ええ、本当ですよ。彼女ひとりにしておいたら、いつ倒れてもおかしくないですから」

まあ確かに、そんなことがリアルにおきるような生活をしていただけに、柚希は苦笑するしかない。

「和葵さん、末永くこの子をよろしくお願いしますね」

「もちろんですよ」

――本当に? 半年期限はあと二ヶ月を切りましたよ?

にこにこと微笑みながら、彼はテーブルの陰で柚希の手を握る。

その手は温かくて優しい。

思えば今回のことは初めての夫婦喧嘩になるのだろうか。

雨降って地固まると言うが、絆は少し深まった?
そう思いながら、柚希は彼の手を握り返した。


夕方にはベリーヒルズの彼のレジデンスに行った。

部屋に入ると、彼は楽しそうに歌い始める。

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