麗しの彼は、妻に恋をする
アイボリー色をした革のソファーはふわりと柔らかいのに、座面はひやりと冷たい。
エアコンで冷えているからだろうが、まるで目の前にいる彼のようだと思った。
綿飴のように優しそうな王子さまに見えるけれど、それは勝手に自分が作ったイメージで、実際はそうじゃない。彼は物語の中の王子さまではないのだから。
そんなことを思いながら、柚希はしょんぼりと俯いた。
――早く帰りたいなぁ。
マルちゃんが心配しているだろうと思った時、その心の声が聞こえたように彼が言った。
「君の器だけどね。陶苑の隣のカフェがあったでしょう? 店内で繋がっていたカフェ。
そこで使う食器用に買わせてもらったんだよ。ほんの少しだったけど、まずはお試しにね」
それを聞いて柚希はハッとした。
色々あってうっかり忘れるところだったが、彼は個展で作品を買ってくれたのだ。
「あ、ありがとうございます」
陶苑に飾ってもらえなくても、陶苑のカフェで使ってもらえるだけで十分に名誉なことだ。予想もしていなかったことに感動で胸が熱くなる。
エアコンで冷えているからだろうが、まるで目の前にいる彼のようだと思った。
綿飴のように優しそうな王子さまに見えるけれど、それは勝手に自分が作ったイメージで、実際はそうじゃない。彼は物語の中の王子さまではないのだから。
そんなことを思いながら、柚希はしょんぼりと俯いた。
――早く帰りたいなぁ。
マルちゃんが心配しているだろうと思った時、その心の声が聞こえたように彼が言った。
「君の器だけどね。陶苑の隣のカフェがあったでしょう? 店内で繋がっていたカフェ。
そこで使う食器用に買わせてもらったんだよ。ほんの少しだったけど、まずはお試しにね」
それを聞いて柚希はハッとした。
色々あってうっかり忘れるところだったが、彼は個展で作品を買ってくれたのだ。
「あ、ありがとうございます」
陶苑に飾ってもらえなくても、陶苑のカフェで使ってもらえるだけで十分に名誉なことだ。予想もしていなかったことに感動で胸が熱くなる。