麗しの彼は、妻に恋をする
作陶中はラジオをつけている。パーソナリティの話が面白くて声を出して笑ってしまうこともあるし、いい気分で歌を歌いながらということもある。あらためて考えたことはないけれど、言われてみればいつも楽しい気持ちで工房にいるかもしれない。
「――そうですね。作陶は楽しいです。陶芸が大好きですから」
そう答えると、彼は微笑みながら頷いた。
「ご両親は? 陶芸家さん?」
なぜそんなことを聞かれるのかわからなかったが、別に隠すほどのことでもない。
「いえ、家族は祖母しかおりません。両親は幼い頃に離婚したきりなので父のことはわかりません。母は私が大学生の時に亡くなりました」
彼は柚希のマグカップに、最高の褒め言葉を送ってくれたのだ。
カフェで使ってくれるだけなく、彼自身が使ってくれるということも、泣きたくなるほどうれしかった。
ついさっきまでは悲しくて泣きそうだったのに、百八十度気持ちが変わるほど、彼の視線は優しくて、包み込まれるようなに安心感に柚希はたちまち心を開いた。
「――そうですね。作陶は楽しいです。陶芸が大好きですから」
そう答えると、彼は微笑みながら頷いた。
「ご両親は? 陶芸家さん?」
なぜそんなことを聞かれるのかわからなかったが、別に隠すほどのことでもない。
「いえ、家族は祖母しかおりません。両親は幼い頃に離婚したきりなので父のことはわかりません。母は私が大学生の時に亡くなりました」
彼は柚希のマグカップに、最高の褒め言葉を送ってくれたのだ。
カフェで使ってくれるだけなく、彼自身が使ってくれるということも、泣きたくなるほどうれしかった。
ついさっきまでは悲しくて泣きそうだったのに、百八十度気持ちが変わるほど、彼の視線は優しくて、包み込まれるようなに安心感に柚希はたちまち心を開いた。