麗しの彼は、妻に恋をする
彼は家族のこと以外にも、色々と聞いてくる。

雑貨店にいた時と服装が違うのはなぜか。益子での暮らしはどうか。どうしてパトロンなどと言い出したのか。

話の途中、彼は席を立ってコーヒーを淹れ、色とりどりのマカロンをコーヒーと一緒に出してくれた。
人生初のマカロンはフランポワーズ、凝縮された甘酸っぱさと濃厚なバターの風味が悶絶するほど美味しい。夢中になって味わっているうちに、気がつけば、柚希はなにもかもを話していた。オーナーの華子さんのことまで。

「あはは。それでパトロンなんて言い出したんだね」

「お腹が空きすぎて、どうかしていました。お恥ずかしいです」

「もうダメだよ、あんなことをしちゃ」

「はい。もちろん。もう二度とあんなことはしません」

残るマカロンは三つ。緑色、黒、黄色。
味わいながら少しずつ口に含んだのに、もう二つも食べてしまった。
これ以上食べては失礼だろうか。
あと一つ食べるとしたらどれにしようと、悩んでいると。

「残ったマカロンはお土産に持ち帰って」

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