麗しの彼は、妻に恋をする
その一方で、彼の両親には会った。
『彼女の純情なところに惹かれて、守ってあげたいんだ』
そんな風に紹介されたけれど、柚希の脳内では『この子は僕が助けてあげないとどうにもならないんだよ』と変換された。
なんの取り柄もない売れない陶芸家の嫁なんて歓迎されるわけはないと思ったのに、ご両親は柚希の予想を超えてとても喜んでくれた。
聞けば冬木家では感性を大切にしているので、結婚相手選びは本人の気持ちを優先するとかなんとか。
彼に言われて持参したのは、柚希制作のコーヒーカップ。
それは自分たちが使っている白いカップとは別の、暗緑色が渋い織部のカップで、益子の工房に来た和葵が、これがいいと選んだ物だった。
『温もりのある、いい器ね』
『うんうん。優しい器だ』
ご両親は喜んでくれたのである。
綻んだその笑顔を見た瞬間、緊張の糸が切れたように、柚希の瞳には涙が滲んだ。
家族として迎い入れてもらえる喜びに涙が出て、彼が背中をさすってくれて……。
『彼女の純情なところに惹かれて、守ってあげたいんだ』
そんな風に紹介されたけれど、柚希の脳内では『この子は僕が助けてあげないとどうにもならないんだよ』と変換された。
なんの取り柄もない売れない陶芸家の嫁なんて歓迎されるわけはないと思ったのに、ご両親は柚希の予想を超えてとても喜んでくれた。
聞けば冬木家では感性を大切にしているので、結婚相手選びは本人の気持ちを優先するとかなんとか。
彼に言われて持参したのは、柚希制作のコーヒーカップ。
それは自分たちが使っている白いカップとは別の、暗緑色が渋い織部のカップで、益子の工房に来た和葵が、これがいいと選んだ物だった。
『温もりのある、いい器ね』
『うんうん。優しい器だ』
ご両親は喜んでくれたのである。
綻んだその笑顔を見た瞬間、緊張の糸が切れたように、柚希の瞳には涙が滲んだ。
家族として迎い入れてもらえる喜びに涙が出て、彼が背中をさすってくれて……。