過保護な君の言うとおり
「そうだな、前のように戻ったんだから、当たり前だ」
「以前だったら俺は何とも思わず、俺の話を静かに聞いている玲を見るだけで満足していた」
「そうだ。お前はお人形のように、何でも自分の言ったことを貫き通せる相手が御所望だった。
私はお前が嫌いだと散々言ってきたが、必ずその言い分を否定したし、結局は思い通りになる私のことが大好きだったもんな」
佐久間は唇を噛み締め、私をきっと睨んだ。
「でも! あんなのを見せられた後でこの仕打ちは、いくら俺でも堪えるって……」
「あんなのって、なんだ」私は首を捻る。
「図書室で、玲と佐久間が俺を差し置いて楽しそうに談笑していた。そんな玲は見たことがなかった」
「私にとってあいつは特別だ」
そう言いながら佐久間の無防備で何も考えてなさそうな笑顔を思い出した。
「一緒にいると落ち着くし、あいつが家を出た後はとても寂しい。最近私は毎晩不安でよく眠れなくなった」
私は頬杖をついて窓の外を見る。ぼんやりとしていたら、洸が椅子を勢いよくひいて驚いていた。
「玲とあいつは一緒に住んでたのか!?」
洸は毒気を抜かれたようにへなへなと椅子に腰を下ろして項垂れた。