過保護な君の言うとおり
学校の帰りに私を含めた女子数人とレストランへ向かった。
いわゆる合コンの人数合わせだ。
ついた頃にはもう他校の男子生徒がいて、ワックスで髪を整えたり、身嗜みを気にしていた。
「あ、こっちこっち!」
私たちに気づいた茶髪の男が手を振って大声で呼びかけた。
少しくらい声を抑えられないのか、と嫌悪感が胸を掠める。
「え〜っと、宮代さんだっけ」
席に着くとさっそく茶髪の男が声を高くしながら私に話を振ってきた。
「本当に可愛いね。宮代さんくらいに美人で可愛い人見たことないよ」
「それは、どうも」
素っ気なくそう答えると、隣に座っている仲間さんからは怖いほどの憎しみの視線をいただいた。
そっちが私を誘ってきたのにと思った。
仲間さんが私をこうゆう場に誘うのは大抵、男を集めるための餌のような役割の時だ。
そのために私は呼ばれている。
「あんたが来ないと意味が無い」
仲間さん本人からそう言われた時は、なんだか馬鹿馬鹿しくて肩をすくめることしか出来なかった。
そしてそれを承知で来てしまってるんだから私も同じ馬鹿だな。
でも今日は本当は断ろうと思っていたのだ。
ここ最近体調が優れない、そのせいか胸のあたりにごわごわとした違和感があった。
それがなくとも、少し熱っぽいのだ。
いつもの流れでつい来てしまったがもう限界だ。
「ちょっとトイレ行ってくる」
地獄のような気分と空気に耐えられなくなり席を立った。
洗面所にもたれかかり少し休めば、幾分かはましになったが、それでも鏡で顔を見れば、血の気の引いた青白い顔が写っていた。
よくこんな顔なのに周りから何も言われなかったものだ。
見ているようで全く見ていないのだなと思う。
私の根元の奥深くは誰も見ようとしないのだ。だったら私も誰にも見せない。そうしないと生きていけないから。