過保護な君の言うとおり
しかし、委員長が言わんとすることもわからないでもない。
この現状に終止符を打とうと思ってたけど、どうしていいか迷った結果だったのだろう。
いつも私が助けるわけにはいかないし、
委員長がちゃんと悪意を跳ね返せるようにならないと意味が無いと思う。
私は委員長の腕を引いてベンチに座らすと、ここで待つように言った。
私はひとり教室に戻る。
委員長の机の中のものを全て委員長の鞄に詰め
ロッカーから私の体操服を取り出し、旧校舎のベンチへとまた戻った。
委員長は汚れたスカートとシャツを悲しそうな目で見ながら、ベンチに座っていた。
「もう帰れよ、そんな顔と格好で授業出れねえだろ。
どうせ今日はあと一限だけだし。
私の体操服貸してやる。
旧校舎の一階にある奥の部屋はまだ綺麗だから、そこで着替えればいい」
「え? これ借りてもいいんですか……?」
「そう言ってるだろ」
「……ありがとうございます。……あの、私はこれからどうすればいいんでしょうか……」
委員長はまだ不安そうな目で私を見ている。
そんなこと自分で考えろ、と吐き捨ててもよかったが、たまにはいいかとも思った。
私はひとつ息を吐いて、委員長に視線を合わせる。
「大丈夫だよ、委員長。今度何かあったら、自分の思うようにすればいい」
「う、うん。そうだね、そうする。助けてくれてありがとう……ございます」
委員長は深々と頭を下げて、涙をふいて中へ入っていった。
これは助けたんじゃない。
私にできる精一杯の力で、委員長を鼓舞したのだ。