過保護な君の言うとおり
行くあてもなく、残された数十分の休み時間を持て余して教室へ戻ると私の席に佐久間がいた。
「玲ちゃーん!
久しぶりだね、もしかしたら会いに来てくれるかもとか思ってたけど、
やっぱり玲ちゃんは玲ちゃんだね。
全然会いに来てくんない」
「何しに来たんだよ……」
周りの人間は私と佐久間を避けている。佐久間だけがにこにことしゃべっていた。
私が退院するまでの間、何故か毎日のように見舞いに来た佐久間は、私が気圧されるくらいの馴れ馴れしさで沢山話をした。
それもどうでもいいような、朝寝坊をした話とか、好きな食べ物の話。
私と話しても面白くないだろう、と聞いてみたがあいつはキョトンとした目で
「なんで、楽しいよ僕」と言うのだ。
本当に変わってると思う。
「いやさー。僕、図書館委員長になったんだけどさ……」
佐久間が私の席を立ち、私を代わりに座らせた。
椅子が暖かかったので、長いことここに座って待っていたのだろうか。
「まさか一緒にやろうなんて言うなよ」
ふと思いついた嫌な予感を言ってみただけなのだが、
「えっ!すごい!なんでわかったの!?」
と佐久間は手を叩いて喜んだ。こんなことなら言わなきゃよかった。