過保護な君の言うとおり




 僕ってあんまりそうは見られないけど実は嫉妬深いやつかも知れない。



そして多分嫌な奴でもある。



逆に玲ちゃんは冷たくて近寄りがたく見えるけれど、本当はとても優しい。




 僕は半ば無理やり玲ちゃんを図書委員に誘った。クラスも違うし、接点も薄い。何とか繋ぎ止めるために、自分勝手に彼女を誘ったのだ。




本当に嫌そうなら、やめようと思っていたけれど。


でも玲ちゃんは面倒くさそうにため息をついたが、最終的には委員会に入ってくれることになった。




玲ちゃんは人のわがままに心底優しい。それに人をよく見ている。



そういう彼女のいい所を、他の奴らに見つけられたくない、僕だけが玲ちゃんを知ってたらいいのにと思うのだ。







今日は放課後に委員会の招集がかかり、図書室に集まることになっていた。




図書委員はクラスから二人選出され、僕ともう1人女の子が選ばれた。



嶺さんというメガネをかけたもの静かな女の子だ。

あまり話したことがないしとりあえず二人でここにきたものの未だ全く口を聞いていない。





 少し早めに図書室にきてしまったので、皆が来るまで静かに本を読むことにした。



 しばらくするとちらほらと人が集まってきた。

ガラガラと扉が開き、僕は入ってきたその人の声を一瞬にして聞き分けた。



玲ちゃんだ。



「なあ、小池ってなんで図書委員になったんだ?私も立候補しておいていうことじゃないけど、つまんなくないのか?」


「ぼ、僕ですか? それは、宮代さんが立候補したから……」


玲ちゃんの後ろについてきている小池という男が言った。


「宮代さんって自分をしっかり持っててすごいなってずっと思ってたから。何か一緒にできたらなって」




 なんだよ、玲ちゃんが目当てで図書委員になったのかよ。



同じクラスだとそういうこともできるのか。



ずるいな、自分の積極性次第でなんとでもなるんだもん。


こっちはあの手この手で頑張っているというのに、セコいなあ。




 僕は書架の影に隠れて話を聞いていたのだけれど、


そんなことを考えている間にすっかり出ていくタイミングを逃してしまった。




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