過保護な君の言うとおり
「どうかしたか?」
玲ちゃんが首を傾げる。
「二人ってさ、その……付き合ってるの?」
僕はニヤリと口角をあげた。はたから見れば付き合ってるように見えるのが、僕はとても嬉しい。
ずっと前から玲ちゃんの存在は知っていたが、たいした接点もなく時間ばかりが過ぎ去っていった。
そんな時、たまたま通りかかったレストランの前で玲ちゃんを助け、
接点を持つことになると、僕は玲ちゃんのことが気になり始めた。
その時に掴んだいつ切れるか分からない細い糸のようなきっかけを、
絶対に離すまいと僕は今、必死になって繋ぎ止めている。
僕のこの気持ちは、好きだと一言には言えない。もっと大きいもので、
玲ちゃんの大切な人になりたい、大切にしたいという気持ちだった。
「私と佐久間がか?
まさか、付き合ってるわけがないだろう。
ほら、お前がやたらめったら関わってくるから、小池が勘違いしちゃってるじゃないか」
そう言って玲ちゃんは僕を小突く。
見ての通り、僕の想いはこれっぽっちも玲ちゃんに伝わっていない。
「僕はどっちでもいいけど」
そんなにはっきり言わなくてもいいのに、と僕は少しムッとして膨れた言い方をした。
小池があからさまにほっとした顔をしたのも気に入らない。
「なんだ、そうなんだ。仲がいいからてっきりそういう関係なのかと思ってた」
「んなわけあるか」
なんだか小池がすっごく羨ましく感じる。
玲ちゃんに笑顔を見せてもらえるし、クラスだっておんなじだ。
僕にないものをこの小池とかいうやつは当たり前のように持っている。