過保護な君の言うとおり
さっきから佐久間の元気がない。
微々たる違いに過ぎないが、ほんの少しいつもと違う。
なんだよ、調子よく絡んでくるかと思ったら、いきなり静かになるし。
そのくせ一緒に帰ろうと誘ってきて、佐久間は一言も話さない。校門を出た頃にやっと佐久間が口を開いた。
「玲ちゃんは罪な女の子だよ」
佐久間がしみじみと言った。
「玲ちゃんと話した人はさ、多分みんな玲ちゃんを好きになると思うんだよね。
……あ、今気持ち悪いこと言うなって思ったでしょう」
「ご名答」
あはははっ、と軽快に笑った佐久間は、歩幅の小さい私に合わせながらゆったりと歩く。
「玲ちゃんのクラスの委員長を昼休みに助けてたでしょ。
玲ちゃんを図書委員に誘おうと思って探しててたら、
廊下にいた子が旧校舎のベンチでいつも昼寝してるって。
そう聞いて見に行ったんだよ」
「うわ、私の昼寝の場所までバレてんのかよ」
「ファンクラブの人に聞いたから……」
佐久間は、あっと口を塞ぐ。
「これは、言っちゃいけないやつだった」
今の聞いた? と苦笑いで私に聞いてくる。
「しっかり聞いたけど、怖いからあえて突っ込まないわ」