過保護な君の言うとおり
なんで、こんな私にアイドルめいたものがあるんだ。
この学校は変なやつばっかりだな。
それよりも佐久間はものすごく口を滑らすのが上手いみたいだ。あ、これは皮肉だぞ。
「それでね」と佐久間は続ける。
「その委員長を助けてるところを見たんだよ。なんだかんだいって優しいんだもん玲ちゃん」
「別にあれは助けたんじゃない。
ただ、眠かっただけだ。
それにあんなの助けたうちに入んねえよ、どうせまた委員長に突っかかってくるだろうから、その場しのぎにしかならない」
「それが分かってたから、ちゃんと委員長の背中を押してあげたんでしょ?
そういう所も含めて優しいって言ってるんだよ」
佐久間は柔らかく笑う。
なんで、そんなふうに私のことを良い方向に受け止められるんだ。
私が優しいなんてあるわけないだろ。
佐久間は私を買い被りすぎだと思う。無償の優しさなんてものは存在しない。それは私がよく知っている。
だから私のあれは優しさなんかじゃない、助けてもいない。
だって委員長を助けても、私には何の得もないんだから。