過保護な君の言うとおり



「秋子さんはなんて?」


「すっごい心配していたよ。

飛んで帰ってきそうな勢いだったから一応止めたけど。

僕が玲ちゃんと住むことも了承してくれた」




 秋子さん、こいつを信用しすぎじゃないのか? 佐久間に完全に外堀を埋められた気分だ。


「というか、秋子さんの電話番号知ってたのか?」



 ふとした疑問だった。


その問いに実にあっさりと佐久間は頷き、私は拍子抜けした。



「玲ちゃんが入院していた時に『何かあったら頼みます』って秋子さんに連絡先貰ってたんだ」


「お前ってやつは……」



なんか、怖いわ。


なんの言葉も出てこない私に相反して、連絡先が役に立って良かったと佐久間は誇らしそうにしていた。




 それから、私は早退し、先に家に帰ることになった。荷物は佐久間が保健室まで持ってきてくれた。



外に出ると、いつも疲れた顔をして帰宅するサラリーマンや学生の姿はない、穏やかに時間がゆっくり進んでる。


< 46 / 119 >

この作品をシェア

pagetop