過保護な君の言うとおり
「秋子さんはなんて?」
「すっごい心配していたよ。
飛んで帰ってきそうな勢いだったから一応止めたけど。
僕が玲ちゃんと住むことも了承してくれた」
秋子さん、こいつを信用しすぎじゃないのか? 佐久間に完全に外堀を埋められた気分だ。
「というか、秋子さんの電話番号知ってたのか?」
ふとした疑問だった。
その問いに実にあっさりと佐久間は頷き、私は拍子抜けした。
「玲ちゃんが入院していた時に『何かあったら頼みます』って秋子さんに連絡先貰ってたんだ」
「お前ってやつは……」
なんか、怖いわ。
なんの言葉も出てこない私に相反して、連絡先が役に立って良かったと佐久間は誇らしそうにしていた。
それから、私は早退し、先に家に帰ることになった。荷物は佐久間が保健室まで持ってきてくれた。
外に出ると、いつも疲れた顔をして帰宅するサラリーマンや学生の姿はない、穏やかに時間がゆっくり進んでる。