過保護な君の言うとおり
外はこんなにも穏やかなのに、家の中は寒くて暗い。
途端にひとりぼっちになって孤独に晒された気分になった。
家主のいないこの部屋は呼吸を止めて深い眠りについてしまったのだろうか。
私は自分の足音だけが響く廊下を歩き、寝室に敷いた布団にダイブした。
ひんやりとした空気に飲み込まれるように私は夢の世界へ経ち、目が覚めたのは夕方だった。
ちょうど起きたタイミングを見計らったみたいにインターホンが鳴った。
出ると佐久間だった。
「お邪魔します。玲ちゃん、気分はどう? ちょっとはマシになった?」
両手に買い物袋を下げてなだれ込むように家に入ってきた。
「まあ、少しは」
それよりもその荷物に目がいった。
「何なんだよその袋は。大荷物じゃないか」
「これは夜ご飯。僕がこの同居の言い出しっぺだから、家事洗濯、料理は任せて。じゃないと僕が来た意味ないじゃんね」
「いや、でも」
「あ、それと引き換えにどうとかは全く無いから」
私はただ単に家政婦のような役回りをさせるのは、さすがに申し訳ないかと思ったのだが、
私がギブアンドテイクの関係に固執してると思ったのだろう。
それは半分正解で、半分は間違っている。
「別にお前の真意を疑ってるわけじゃない」
なぜなら、佐久間がいいというなら私は素直に甘えようと、そう思うようになっていたから。